人類はコロナウイルスとの戦いを、今後とも長くにわたって続けてゆくことになるようですが、
そうである以上私達は、免疫力の向上はもちろんのこと、できる限り下げないようにもしてゆくべきではないでしょうか。
そのためには日常の中での免疫力を下げてしまう要因を、取り除いてゆく必要があります。
◆冷え・冷え性
冬は人から人へとうつる病気が流行る季節ですが、これはウイルスが寒さによって活発化すると云う
要因も多大にあるのですが、もうひとつ「人は体が冷えていると、免疫力も低下する」
と云う原因も、そこにはあります。
体温が1度下がると、免疫力が30%下がると言いますが、
人間は冷えていると、血液やリンパの流れも悪くなります。
これらの体液の中には免疫細胞である白血球が存在し、身体中を巡り続けています。
冷えで体液の循環が悪くなると、この、白血球もまた働きが悪くなるので、
感染症にかかりやすくなったり、治りが悪くなったりするのです。
そのためには冬場に冷えから身体を守るだけではなく、普段から冷えやすい体質であれば、
その体質も変えていかなければ、ウイルスからも諸々の病気からも身体を守れないのです。
とくに、夏場に冷房の効いた部屋が辛いようなくらいの冷え性であれば、
免疫力が十分に働いていない身体になっている、と言えるでしょう。
病気にかかりやすいだけでなく、かかった時にも治癒がしづらいのです。
◆ストレス・恐怖・不安
コロナウイルスが問題化して以降の世界では、我々に負の感情を呼び起こす要素が、
世の中に多々あふれるようになりました。
感染を警戒し、恐れながらの生活。他人と触れ合えず、外出を制限された日々。
滞った娯楽。学校に行けない子供。傾いていく経済。将来への不安。
毎日報道される悲しいニュース。そして急速に変化せざるを得ない世界‥‥etc‥‥と、
さまざまなネガティブに我々は晒されることを余儀なくされております。
そんな急激な生活環境の変化の中で、自律神経が乱れて体調を崩したり、
ストレス過多となってイライラしやすくなったり不眠に陥ったり、鬱になったりされる方も、
また多く出てきて問題になっています。
そんな自律神経の乱れや心身の体調の悪化を招くのは、ストレスというものが自分の中で、
上手く処理できない、処理しづらいところから、それらへとつながるようになっているからなのです。
世の中全体がコロナウイルスへの対応に振り回され続ける今は、
生活でも、報道でも、常に恐怖心や不安感を呼び起こされるような状況です。
そういった感情は焦燥感や無力感という、また異なるネガティブな感情を呼び起こし、
増幅させ、うつやイライラへとつながっていくようになります。
またそういった諸々のストレスを、外での発散もしづらい中では、
よりそのストレスは身心を蝕む方向に働きやすく、
より体調も崩しやすくなっていると言えるのです。
そして、そんなストレス・負の感情からくる体調不良は、体の免疫機能にも悪影響を与えます。
自律神経が乱れれば、体調が悪くなるだけでなく、免疫力もまた下がっていきます。
「心と体はつながっている」「心身一如」とは言いますが、心の状態が悪ければ、
不眠や頭痛といったいかにも精神的な要因から来そうな病気のみならず、
感染症にも、血液や臓器類の病気にも罹りやすいような身体をつくり出していってしまうのです。
ネガティブな想いは、心から色々な病気を、身体にあれこれと呼び込むようになります。
◆腸内環境の悪化
「納豆や味噌、ヨーグルトなどの発酵食品は、コロナウイルスの予防効果がある」
などという情報が世間では流れ、一時はスーパーの店頭から納豆が消えるなんて事態が、
起こったりもしました。
結局はデマに過ぎず、消費者庁も「根拠に乏しい」と見解を出し、
買いだめに走るような状態もすぐに落ち着きましたが、
この、「納豆が良い」なんて噂が流れたのには、発酵食品に腸内環境を整える効果が
あるからであり、その腸内環境がまた、コロナウイルスに抗う上で重要な「免疫力」
ともかかわっているからなのです。
腸内にはビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌と、大腸菌などの悪玉菌が混在しています。
このうち善玉菌は、ビタミンを生み出したり、消化や便通を良くしたりする役割がありますが、
それらと同時に身体の免疫力を高めるという働きも、持ち合わせております。
一方で悪玉菌は癌や食中毒を発生させたり、便通に悪影響を及ぼしたりすると同時に、
身体全体の抵抗力を弱くするという、ちょうど善玉菌とは真逆の働きを行なっております。
つまり、この腸内にある二種類の菌のうち、善玉菌優位であれば免疫力も高く、
逆に悪玉菌の方が多ければ、またウイルスや細菌感染、
あるいは他の病気への罹患の可能性も、上がっていってしまうのです。
なので免疫力を上げるには、腸内での善玉菌の割合を増やすことが、
重要になってくるのですが、
それはただ善玉菌の入った食べ物を摂取していればいいと云うわけではありません。
腸内の悪玉菌のほうも減らしていかなければならないのです。
悪玉菌はたんぱく質や脂質を多く摂取すると、それを餌として増殖していったり、
毒素を発生させたりと、活動が活発化します。
そのためにも肉やインスタント食品などは、なるべく摂りすぎないようにすべきなのです。
そして、上で述べた「冷え」や「ストレス」もまた、腸内環境を悪化させる原因です。
体の冷えで血液の循環が滞れば、消化・排泄の器官の機能にも支障をきたすようになり、
腸内の悪玉菌を増やしてしまうことにもつながりますし、
過敏性腸症候群なんて病気があるように、ストレスは胃腸にもダメージを与えやすいのです。
◆深酒・二日酔い
コロナウイルスが猛威を振るうようになって以降、家飲みが増え、不安から酒に逃げたり、
自宅待機が続くために酒ばかり飲んでいたりする方も結構いるようです。
中には「アルコール消毒だったら、飲んでしまったってできるんじゃないのか」なんて、
トンデモな理由で酒に走ってる者までいるようですが、
この、アルコールへの過度な逃避は、かえってコロナウイルスに
弱い身体をつくってしまうことになります。
お酒を飲んで血中のアルコール濃度が過度に上がると、免疫力そのものは大きく下がります。
というのも、血液の中にはナチュラルキラー(NK)細胞という免疫細胞があり、
この細胞はほろ酔い程度であればかえって活性化しますが、
血中のアルコール濃度が一定を超えてしまうと、その機能は大幅に低下してしまうのです。
また、お酒に浸りきり、アルコールに身体を蝕まれた状態では、免疫力も当然ながら低下しています。
人は二日酔いになると、寒気も起こりますが、そういう状態では血液もまた循環も滞っております。
そうなると先述したように、免疫細胞も外敵を排除するような活発な活動が、制限されていってしまうのです。
そして毎日多量のアルコールを飲み続けること、それに伴いおつまみをあれやこれやと食べること、いわゆる「暴飲暴食」は、
血液をドロドロにし、これもまた白血球の働きを鈍らせ、体を病気にかかりやすくしていきます。
さらにはアルコールで胃腸に負担をかけることで、腸内環境も悪い方向へ、悪玉菌優位へと変わっていきます。
腸内環境は上でも書いたように、免疫力を左右する要因のひとつです。
たしなむ程度、ほろ酔い程度であれば、ほどよいストレス解消となり、また上述したようにNK細胞の活性化と、
免疫にとってはむしろ良い効果を得ることが出来ますが、
これに依存し、無理な飲み方をするようになれば、血液から・腸内からと、
いろいろなところから免疫力低下を招いていってしまうようになるのです。