免疫力が低いことは、コロナなどのウイルス・細菌への感染の可能性を高め、
かつ感染した時の症状の重症化を引き起こす要因となりますが、
そういった感染症以外のさまざまな病気の発生リスクをも、また高めてしまう原因でもあるのです。
◆帯状疱疹
帯状疱疹は子供の頃かかった水ぼうそうのウイルスが、
再度体内で活動を活性化することで起こります。
おもに壮年期や高齢者の方がなりやすいものですが、
20代、30代でも発症することは少なからずあります。
症状は神経痛に似た痛みと、灼熱感や痺れを伴うのが特徴で、
疱疹が起きた場所によっては、歩行困難となることもあります。
さらに症状が重くなると、
治った後も後遺症として「帯状疱疹後神経痛」が残り、
長期的に痛みが続くことにまでなりかねません。
そんな帯状疱疹は、体内に長年潜んでいたウイルスが、
免疫力の低下をきっかけに再度暴れ出すことで起こるものです。
仕事で忙しい日々が続いていたり、ずっとストレスを抱えていたりした時に、
発症しやすいのはその為です。
なので、免疫力を高めることは、この帯状疱疹を防ぐのにも繋がるのです。
◆食あたり・食中毒
食中毒(食あたり)もまた、免疫力が落ちているとなりやすいものです。
食中毒を起こすのは食べ物に混入していた菌が原因でなるものです。
通常ならば、そのような菌は体内に入っても免疫機能によって、
胃酸で殺菌されたり体外に排出されたりします。
しかし疲れが溜まっていたりと体力が低下している時は、
この機能は十分に働かなくなるので、必然的に食中毒になりやすくなり、
かつより重い症状にまで進行するリスクをも高めてしまいます。
◆アレルギー
疲れている時やストレスが溜まっている時は、蕁麻疹を起こしやすいものですが、
そんな蕁麻疹以外の鼻炎などのアレルギー症状もまた、免疫力が低下することで
起こりやすく、かつ激しいものになりやすくなります。
アレルギーのそのものは、外部から取り込まれた異物から症状を起こすと云うのではなく、
むしろ免疫機能がよく働くことによって、症状がでてくるものです。
つまり、免疫が過敏に反応することで、免疫そのものが身体に、
害を及ぼすようになるのが「アレルギー」なワケですが、
この、免疫が異常を起こしてしまうのもまた、疲労蓄積やストレス過多などで、
免疫力が低下、あるいは免疫機能に乱れが出てくることに要因があるのです。
アレルギーは身体に対しそんなに害のない物質にまで、免疫機能が過敏に反応してなるものですが、
その機能が低下している時は、免疫はただ抵抗力がなくなるのみならず、
異常な働き方をすることにまで、なっていきやすくなるのです。
そしてこのアレルギーを起こすことは、症状が重篤化したりアナフィラキシーショックで
命にかかわったりと、深刻な事態へとときに発展することもあります。
有名なブルース・リーは、頭痛薬の飲み合わせが悪くてアナフィラキシーショックを
起こして、若くして命を落とすことにまでなってしまったのですが、
その、彼が薬を飲んだときも、2ヶ月前に倒れて意識を失い入院したにもかかわらず、
仕事を継続しているなど、とても疲れが溜まった状況下であったそうです。
つまり、彼の免疫力が低下した状態でなければ、このような強いアレルギー症状は
起こさずに済んだ可能性が、とても高いと言えます。
アレルギー症状が出ることも、新たに何かでアレルギーになることも、
アレルギーが重症化を起こすことも、すべてはあなたの「免疫力」にかかっているのです。
◆口内炎
細菌やウイルスと戦う力が弱いと、必然的に口内もまた感染には弱くなります。
その結果口内炎もまた、できやすくなるのですが、この口内炎は実際には、
ヘルペスウイルスや真菌(カンジダ)などの感染によるものより、
原因不明で起こるケースが、確率的にはとても多いのです。
それは「アフタ性口内炎」といい、歯ぐきや舌などに白い潰瘍が小さくできるタイプのものがそうです。
上述したように原因はハッキリしていませんが、ビタミンB2の欠乏など栄養に偏りがあったり、
ストレスや疲労が蓄積していたり、ホルモンバランスが崩れているとなりやすいと言われています。
いずれにせよこのアフタ性口内炎もまた、起こるか起こらないかには、
「免疫力」が大きく左右しています。
このタイプの口内炎での口内の白班(アフタ)には、細菌が多く発生していて、
そんな状態で口の中に傷ができると、その傷口から、細菌によって炎症が起こり、
潰瘍となってひどく痛むようにまでなるわけです。
そこに「免疫力」が、そこまで発展するか否かを分ける要因となってくるのです。
免疫力が高ければ、アフタもまた小さいうちに、痛む潰瘍になる前に自然治癒していきます。
逆になかなか良くならなかったり、何度も口内炎ができるようであれば、
それは(他の病気を招きかねないほどの)免疫力低下を大いに疑うべきだと言えます。
◆癌
世の中には発がん性のある物質は沢山ありますが、そのようなものを体内に取り入れても、
癌化せずに体外へと排除できるか、ならずに癌になってしまうかもまた、
「免疫力」が大きく関わっております。
癌というのはそもそも、有害物質によって遺伝子が傷つけられることで起こります。
遺伝子が傷つけられると、人間の細胞を形成する機能にも変調をきたし、
異常な細胞、いわゆる癌細胞が生まれるようになるのですが、
通常なら免疫が働くことで、その細胞は増えることなく体外に排出されます。
ところが免疫力が弱っている時は、その機能も上手くいかず、
異常化した細胞は体内に残って増殖を続けていき、
ついには免疫ではどうにもできなくなるほど、大きくなっていってしまうのです。
健康そうに見えて摂生のある生活をしている人が突如ガンになり、「なぜ?」と思うことはよくありますが、
そこには、たまたま免疫力が弱っている時に、発がん性物質が体に入り、
それを処理できず癌が大きくなっていってしまった結果だから、というのが背景にはあるのです。
逆に免疫力さえ正しく十分に働き続けてさえいれば、体に多少悪いことを続けていても、
癌は発症しないものなのです。
かの有名ギタリスト、キース・リチャーズのように、不摂生の限りを尽くしても元気だったり、
100歳を過ぎてもなおタバコを吸い続けることが出来るご長寿がいたりするのは、
この、免疫機能が並外れて優れている人物だからなのです。
免疫力は確かに個人差はありますが、免疫不全系の病気でもない限り、
機能をアップさせることは、誰でも可能です。
癌細胞が付け入る隙を、なるべく与えないようにしましょう。
◆おでき、粉瘤
おできもまた、細菌の感染によって引き起こされるものです。
通常であれば、免疫力が働くことによって、自然治癒したり、
薬を塗るだけで良くなっていきますが、
この機能が弱っていると、ただ治らないばかりか、どんどん悪化していったり、
手術が必要になったりします。
この、切開して除去しなければならなくなったおできを、「粉瘤(アテローム)」と言います。
粉瘤は角質や皮脂、膿などが、毛穴を通して皮下に、
袋が形成されて溜まっていくことで起こるものです。
(毛穴がない箇所にも、外傷を通してなることはあります。)
そういったものは免疫機能で体外に出すことはできないので、
メスを入れる必要も出てくるわけですが、粉瘤になる前の段階であれば、
免疫によっての排出は可能です。
老廃物が溜まっても、表皮の下に袋が出来ていない腫れ物であれば、
免疫によって代謝を働かせて体外に出すことはできますが、
いったん袋状のものが形成されてしまうと、そういった免疫機能はもう関与できなくなってしまうので、
切開手術の必要性が出てくるのです。
粉瘤はときに、こぶし大の大きさにまでなることがあります。
免疫力を高め、そういう事態に発展するのを、なるべく防いでおきましょう。