自律神経が乱れると人は、睡眠障害となったり、精神的におかしくなったり、そして免疫力が下がっていったりしますが、
その他にも実に多種多様な、身体の異常をアレコレと引き起こすようになります。
◆耳鳴り(突発性難聴)
耳鳴りは自律神経異常の典型的な症状の一つで、
中には突発性難聴にまでなるケースもあります。
この耳の異常は、耳の機能そのものに問題があるために起こることもありますが、
日常生活でとくに耳に負担をかけたわけでもないのに、これらの症状が突如起こる方は
とても多くおられます。
自律神経に問題があるので、耳がおかしくなるというのは、その神経の異常によって、
内耳の中のリンパ液が増えていき、内耳全体がむくんだような状態になる、
という理由がある一方で、自律神経の交感神経が優位になることで血管が収縮するため、
耳周辺の血行も悪くなって耳鳴りなどを起こす、という理由もあります。
いずれにせよ自律神経が乱れれば体液そのものの循環は悪くなりますし、
またストレスにも弱くなりますので、耳鳴りや聴覚の異変にも繋がりやすくなるのです。
◆感覚過敏
「耳が聞こえなくて困る」方が世の中にたくさんいる一方で、
「耳が聞こえすぎて困る」という悩みを抱えている方も、実は世の中に結構いるのです。
「聴覚過敏」といい、音が苦痛になってしまうのですが、
耳の機能そのものの異常によって、この聴覚過敏になることはありません。
むしろ精神的な問題やストレス、神経系統の異常によって、
引き起こされるケースばかりなのです。
そしてそこに大きく絡んでくるのが、「自律神経」です。
上でも述べたように、自律神経が乱れると、体液の循環に異常が起きたり、
交感神経・副交感神経のバランスもおかしくなったりします。
また自律神経に異変が生じているとストレスに弱くなるのは先述した通りですし、
メンタルの変調には自律神経の異常が潜んでいるケースがほとんどです。
そしてこの過敏な感覚は、聴覚にだけ起こるものではありません。
自律神経が乱れたり、精神的な負担が蓄積すると人はときに、
視覚が過敏になって光に弱くなってサングラスが欠かせなくなったり、
触覚が過敏になってちょっと触られただけでドキッとしてしまうようになったり、
鼻が利きすぎるあまり些細なことで吐き気がするようになったりするのです。
中には発達障害の特性として、ずっと付き合っていかなければならないケースもありますが、
急に五感がおかしくなった、前から過敏になってきている、というのであれば、改善可能です。
◆下痢・便秘・過敏性腸症候群
自律神経の乱れはまた、下痢や便秘を引き起こしたりと、胃腸にも悪影響を及ぼします。
自律神経は胃や腸の機能を損なうばかりか、自律神経の不調により
身体がストレスに弱くなったことで、さらに胃腸はストレスによるダメージを
受けやすくなるのです。
そしてこの自律神経とストレスとが、重なり合うことで起こる典型的な病気が、
「過敏性腸症候群」です。
腸内に炎症のような問題はとくに無いのにも関わらず、腹痛や下痢・便秘・おならなどを
繰り返すというのがその症状ですが、
これらの症状がそれほど深刻な悩みにまでなっていなくても、
上記のような腸内の異常がしばし起きているという方はとても多く、
むしろほとんどの人が、多かれ少なかれ過敏性腸症候群の症状が起きていると言えます。
そんな過敏性腸症候群と、自律神経がどのような関係があるかと云うと、腸の働き(蠕動運動)が、
自律神経の乱れによって安定を欠くようになり、痛みを感じやすくなったり、便通の異常が引き起こされるからです。
そしてストレスが胃腸にダメージを与えるのと同様に、ストレスはまた自律神経のバランスの崩れを招き、
それがまた腸の機能悪化にも、つながってゆくのです。
◆肝機能・腎機能等、臓器の異常
上で述べた消化のための胃腸器官だけが、自律神経の乱れによっておかしくなる内臓、
というわけではありません。
他の臓器もまた、自律神経の調子に、大きく左右される器官なのです。
血管やリンパといった体液の循環は、自律神経の乱れがあると、滞るようになりますが、
この時滞る箇所は、頭部だったり顔面だったり首肩だったりと、
人によってさまざまです。
頭蓋骨周辺の体液が滞るようになれば頭痛や立ちくらみになりますし、
耳周辺であれば耳鳴りや聴覚の異常を起こすようになります。
そして胃腸であれば先述したような過敏性腸症候群につながってゆくのですが、
自律神経異常で動悸や息切れを起こすのは、心臓や肺およびその血管が滞るからで、
肝臓や腎臓・すい臓などの臓器周辺の体液に滞りが出れば、
当然これらの機能にも異常が出てくるようになります。
さらに、これらの臓器は「静かな臓器」と呼ばれ、知らず知らずのうちに病気が潜んでいて、
糖尿病や肝硬変等へ、徐々に進行していっている、と云うことが往々にしてある器官です。
そういったダメージの蓄積や病の悪化もまた、自律神経が乱れているとその速度を速めていってしまうのです。
その他にも世の中には実に多種多様な病気が無数にありますが、
人が病気になっている時、そのほとんどにおいて、
自律神経には乱れが生じているのです。